通貨発行益について覚書

通貨発行益(seignorage:シニョレッジ)というものについてなんだか色んな話がWeb上にもあってややこしい。ということでまとめておくことにした。しかしちゃんとした一次資料にあたってないので、あくまで覚書ね。

政府が10年もので金利1%の長期国債を10,000円で売ったとしよう。この場合の金利は年利であり、利息は半年ごとに払われる。つまりこの国債を買った主体は10年にわたって半年ごとに50円ずつ利息を受け取り、償還期限の10年目が来たときに最後の利息といっしょに10,000円が戻ってくることになる。現在の日本では、国債の典型的な買い手は国内の金融機関である。

金融機関が買ったばかりのタイミングで、この国債を日銀が買い切ったとしよう。このときの購入価格は、実際には10,000円以上、11,000円以下のいくらかになるだろうが、とにかく日銀と売り手で同意がとれれば後の議論には関係ない。

この国債は日銀の所有となり、償還期限が来るまで政府が日銀に利息を払うことになる。しかし規則の定めるところにより、日銀の保有する資産から発生する利益は手数料的なわずかな金額を差し引いた後で国庫に納入される。つまり、実質上、利息分が棒引きになる、ということだ。

そうすると、国債を発行する際に立てる、利息を含めた返済計画のうち、利息分が浮くことになる。これを通貨発行益と呼ぶ。

また、償還期限の来た国債は、日銀が政府に償還を要求することになる。しかしこれは政府日銀の同意の下、借り換えを行ってもいい(償還要求そのものを行わずに保有し続けてもよさそうだけど未確認)。借り換えを行っている間は、元本の10,000円も返さなくてもいい。これを含めて通貨発行益と呼ぶこともある。

正式な定義がどちらなのかよく分からないが、どちらの用法も世間にあるようなので、まずはいちいち確認するのが建設的と考えている。